ホロライブニュース創作小説:赤い冬 #はあちゃまホラー

ホロライブニュース創作小説:赤い冬 #はあちゃまホラー

2021年2月20日 オフ 投稿者: hololive.news

私の名前は、クリス・マーティンウッド。

私の元に古くからの友人が訪ねてきて1週間。

友人と南半球の太陽のもと、この澄み切った蒼い海でゆったりと過ごすのが、私と旧友との冬の定番になっていた。冬とは言え、オーストラリアは9月には20度近くにまでなる、日差しも北半球よりはずっと強い。

私は、船の上で時折顔に掛かるしぶきを他所に、もう十分だよこれでもかとしつこい太陽のもと、好きな小説を読んでは、やや冷たい海で素潜りを楽しむ友人の方へ気をやっていた。

ふと、喉が乾いたのでワインを取りに立ち上がると、友人が海面へと顔を勢いよく出して、こう言った。

「オイッ、ここの海は荒っぽいな、俺に怪我をさせやがった!去年行った場所の方が慣れてる分安心できるよ。」

そう言いながら、船へと上がってきた友人の脹脛からは血が出ていた。

「やっぱり、アドリア海には勝る海はないぞ。」

私のちょっと口の悪い友人はイタリア出身の医者だ。名前は【ガブリエーレ・ルッソ】口は悪いが、腕の方はピカイチで、私も友人として誇りに思うし、また同じ医者として一目置いている存在だ。

私は、ここ青い海と広大な大地のオーストラリアで医者をやっている自由気ままに開業医だ。自分で言うのも何だが、評判は良い方だ、もっとも今日みたいに休日にゆっくりできる時間があるほどの評判だが、、、

友人は、自分のカバンから止血のための包帯と傷あてを取り出し、ちょっとキツめの酒で消毒をし、傷の手当をしていた。

「そろそろ、岸に帰るか夕方は冷えるしな。おいクリス。傷の為に栄養のあるもんを食べに行こうぜ。」

時計を見ると16:09。そろそろ戻って夕食でも食べるとするか。ここは、いつもの店で食事を摂ることにした、私の診療所のからは離れた店だが、兎に角肉料理を食べるにはもってこい、友人も何回も来ている馴染みの店だ。

私と友人は、取り敢えず、泳ぎと冬の穏やかな日光浴とは言え、疲れた身体の為に野菜を多めに、そして分厚い肉を食べながら、雑談をしていた。

いつものくだらない雑談だ。あの店には若いコックが居て腕が良いだの、あそこの店に来る常連は煩いだの、あっちのバーには、自分に惚れてる客がいるだの、そんなどうでもいい話をしながら、夕食を摂っていた。

私がそろそろ食べ終わり、最後のワインを注いでいると、やかましい昔のドラマに出てくる電話の様な音が鳴り響いた。

仕事の電話らしい・・・私は怪訝な顔をしながら、友人が話し続ける中、会話を中断して、電話に出た。

電話を掛けてきたのは、女性だった少し幼い感じもするが、上手とは言えない英語で、私の病院まで直ぐに来てくれと言うものだった。兎に角早く来てほしい。それだけだ。

私は、まだ夕食を完全には終えていない友人に電話の事を伝え、一緒に私の病院へと向うことにした。

店から10分ほど運転すると、私の小さな病院が見える。

住宅地の端にあるとは言え、この辺りじゃまだヤブ医者とは呼ばれていない、近所の爺さんや婆さんだって、診察や怪我の治療に来る。毎朝、ジョギングしている夫婦もうちの病院の悪口は言ってないはずだ。

私が、車を車庫の前に止め、病院の入口へ向うと、少女が随分大きな袋を持ってずっと、入り口やガラス越しに院内を見て佇んでいた。私と友人の姿を見たその少女は、突然大声で泣きじゃくりながら、助けてくださいとしか言わなかった。

鍵を開け、施術室と繋がった隣の控え室まで案内すると、少女は突然施術室のドアを開けその手術台の上にその大きな袋を載せてこう言った。

「早く!はやくなんとかしてください!お願いします。一刻を争うんです!お願いします!首を繋げてください!」そう言いながら、少女は喚き散らして少し混乱しているように見えた。

私と友人は、その大きな袋のジッパーを開けて、言葉を失った。

ここオーストラリでは、ワニやサメに襲われた患者や遺体などを目にする機会が多い、最も、ここオーストラリアじゃ、カンガルー相手に喧嘩をして、前歯を折られたって話がごく普通にあるほど、野蛮な国でも危険な国でもない。しかし、私と友人はその袋の中身を凝視した瞬間、言葉を失っていた。

友人は、思わず「面倒な事になっちまったなぁ・・・」と少女に聞こえるように呟いた。

袋の中には、死体が入っていた、いや正確には首と胴体が切り取られた少女の死体が入っていた。

少女はというと、早く何とかしてくださいと言うばかりで、話にならない。

友人が少女に対して冷たく言う。

「お嬢ちゃん、彼女はもう死んでいるよ、何をしたって無駄だ。取り敢えずクリスは早く警察に電話をするべきだぞ、面倒は御免だ。俺の休暇が無くなっちまう。」

確かにその通りだ、幾ら休暇の長いイタリアとは言え、せっかくのバカンスが無くなってしまうのは理解できる、しかし、この少女の処遇を考えると、直ぐには電話をすることには躊躇いを覚えた。どう見ても少女は未成年に思えた。ここクイーンズランド州では17歳未満は未成年だ、しかも逆に私達の方が怪しまれそうな状況だ。

しかし、我々大人がこう考えている間にも少女は助けてと訴えかけてきている。

もう諦めたのか友人が私に白衣を借りるぞと一言言って、険しい仕事の時に見せる表情になると、私と友人は、少女をスタッフの控え室で休むように言い、この手術台の上に載せられた死体の首と胴体を縫合する作業に入った。

死体はさほど流血をしておらず、切り口が少し血が滲んでいる程度だった。よほど鋭利な刃物で切断されたのだろう。痛かったろうに・・・

30分ほどで、私達2人の休日の仕事は終えた。私の友人は、あのイタリアで頭部を他人の体に移植する手術を成功させた名医の助手をつい最近までやっていたんだ、死んでる身体に頭部を縫い付けることなんて、ぬいぐるみの修理みたいなものだった。

首と胴体は繋がったものの傷跡も酷いし、当然生き返るはずも無い。友人と私は、スタッフの控え室で休憩しているあの少女に話を聴こうと部屋へ向かった。

部屋には少女の姿は無かった・・・机の上に大きく間違った英語でこう書かれたメモが置いてあった。

【ありがとう。これであの子は生き返る事ができる。私の名前はAkai Haato、日本から来た留学生です。費用の事は心配しないでください。必ずお支払います。】と乱雑に間違った綴で書き置いてあった。

どこかでドアの閉まる音がした・・・白衣を脱ぎにさっきまでの施術室に戻ると、もうあの袋も首の繋がった死体も無くなっていた。

ぐったりと疲れが吹き出して、私は友人を友人の寝泊まりするコンドへと送って、早々に寝ることにした。今日のあの件は、昼間の太陽にでも当たって頭痛でもしているのかと思える出来事だ。病院の隣にある家へと車を急がせた。

帰り際に友人が私に言った言葉を思い出す。

「酒でも呑んでゆっくり寝ろよクリス、今日はいい海だったな、明日は河にでも行こう。」

私は、親戚が作っているクラフトビールを開け、ベッドで横になって早い朝を迎えた。

#はあちゃまホラー

昨日の出来事がまだ鮮明なまま私は診察と治療に追われていた、急患だ、よくある話だ、蛇に噛まれたのだ、幸い毒はないので死にはしない、それなのにエラく喚き散らす配達員を見て、私は友人との河での件を延期したことに謝りのメールを入れようと思い携帯に手を伸ばした。

携帯の下には昨日のメモ紙がコーヒーの染みも無くキレイな状態で置いてあった。よく見ると住所が書いてある。オックスリー ミドルパーク ヘイゼルトン・ストリート8-10・・・

友人に今日、一緒に川釣が出来なかった事を謝りそれと一緒に今日の16時に早い夕食を摂ることを提案した。

案の定、返事は早かった、ちょうど釣りも佳境に入っており、酒も無くなって直ぐにでも夕食を食べたいと思っていた所だったと。

私は、病院を閉め車を河へと走らせた、友人は自転車で来ているので、車の後ろにでも乗せれば良いだろうと、車の中のガラクタを端っこに寄せておいたのだ。

案の定いつもの岩場に友人が座っていた、毎年このカーブの辺りでこっちの友人らとBBQをする事になっている。先週もそうだった。

友人は、「ここの河はシケてるよ、魚が増えずに俺の酒ばかりが減っていく、シケ河だよ、この河は!」と酔ってるのか何時もよりデカい声で、しつこく何回も私に話してきた。

私は、友人を車に載せ、いつもの店へと車を走らせると、ミドルパークのスーパーが目に入った。

ミドルパーク ヘイゼルトン・・・意外にもこの近くらしい、私は友人に昨日のメモに住所が書いてあった事を伝えると、自然にハンドルをミドルパークのメモに書かれた住所へと向けていたのである。

運転してから5分、メモ紙の住所の家の前に車を止め、友人と私はその大きな家の玄関へと向かった。

大きいとは言ってもオーストラリアでは普通の広さだろう。躊躇いもなく私の顔を見て、すぐさまチャイムを鳴らす友人。

誰も出てこない様だ、庭にも人影は見当たらないし、よく居る煩く吠える犬も見当たらない。友人は、早く飯でも行こうと、チャイムを何回も鳴らしている。

「誰も居ないみたいだな俺の夕食の時間が無駄になっちまう。」

私は帰る素振りをし、友人と車に戻っていつもの店へ向かうことにした。

「すまんな、あの住所は嘘の住所だったのかも知れないな。」

車を出そうとバックミラーを見ると、ハイスクールのバスが私達の車の後ろで、如何にも退屈な授業を受けてやっと開放されたという顔の学生達を降ろしていた。

その中の1人の少女を見て、私はもう一度友人と車を降りることにした、あの死体を袋で運んできた少女が、先程の家へと向かって歩いてきているのである。

「この住所は本当だったんだ・・・夕食よりも、あの少女に話を聴くべきだと思うんだが・・・」

友人は怪訝な顔をしながら、「そうだな、今日はお前の奢りだ。」と言いながら、車を降りていった。

昨日の少女・・・Akai Haatoという名前も嘘ではないのかも知れない。私は、友人と共に少女が家の玄関に入る前に声を掛けてみた。

「昨日の医者だが、覚えているかな?」

少女は、ビックリした様子もなく、我々2人をリビングへと通した。

「昨日の事だが・・・」私はどんな返答が帰ってきても動じない気持で口を開いた。

少女は、自分は日本からの留学生で、この家にお世話になっている事、友人とガレージで自転車を見ている時に突然ガレージが落下した事故で首を切断してしまった事、今はオーストラリアから海外への移動が禁止されているから逃げはしないと最後に付け加えてくれた。それから、彼女は我々に赤い封筒を差し出した。

「費用はちゃんとお支払いします。受け取ってください。」

封筒には小切手が入っていた。1万豪ドル。

「こんな大金、どうしたんだね?私達は費用については何も言っていない。未成年に大金を請求するつもりもない。それよりも・・・」と何かの事件性を考えながら、少女に口早に話した。

少女は、我々に受け取るよう促すと、ありがとうと言って日本式のお辞儀という礼をした。

友人が、少し苛立ちながら、「お嬢ちゃん、友達は残念だったが、こんな大金をどうしたんだい?ここのご家族はどうしたんだ?まさか、家族全員ぶっ殺して金でも奪ったってか?」

「違います!」

??なんだ急に?日本語か?

「お嬢ちゃん、怒るのは良いとして、英語で頼むよ、オージー訛りの英語でな。」

私は、友人とは違い、ずっとオーストラリアに住んでいるので、オージー訛りが酷くバカにされているとは思わない。イタリア訛りの英語より幾分マシだと思いながらも、少女に声を掛けた。

「君の助けを私達は引き受けたんだ、ちょっとぐらい訳を教えてくれたって良いんじゃないのかい?」

少女は、如何にも大人嫌いな目をしながら、我々2人に話をし始めた。

「私は、日本からの留学生ですけど、Youtubeで配信をやっているんです。お金なら多少はあります。別に変な仕事はしていないし、家族を殺したって訳じゃ有りません。みんな1週間ほどブリスベンのおじさんの家に遊びに行っているだけです。」

「そうか、なら良かった。でも、昨日はどうして・・・あの死体を持って帰ってどうするつもりだったんだ?ペットのワニにでも食わせるつもりだったのかい?」

友人の言葉に私はちょっと言いすぎだろうとは思ったが、さっきまでその死体の少女の事をすっかりと失念していた事に気づく。結局は、墓にでも埋めたか、サメにでも食わせたのか?どちらにせよ、態々首を繋げる意味はあったのか?

友人の誂い混じりの質問に我々2人が思ってもいなかった返答をしてきた。「今なんて言ったんだ?」思わず友人が口を開ける。

「あの子は生きています、元気に。首を繋いでくれたお陰です。ありがとうございます。」

感情の篭もっていない言葉というものは、こうも冷たいのか・・・淡々と口にする少女に思わず私は大きな声を出してしまった。

「そんなバカな事がある訳ない、私達2人は医者なんだ、どんなにヤブ医者だろうが、死んでる人間と生きている人間の違いぐらいは分かる!」

私の声に少しビックリしたのか、私も思わず出した大声に少し動揺し、少女は我々にこう言って、外へと案内された。

「明日のこの時間にまた来てください。」バタン!と強めの音がして玄関が閉められた。

「今日は帰れって?コーヒーすら出さないこの家に明日また来てくれとは、どういう事だよ、また来ればカフェ・コレットでも出してくれるんだろうな?」

・・・明日来ることに対して気が向かないまま、私と友人はいつもの時間より遅く摂ることになった夕食をしに、またいつもの店へと向かった。

次の日・・・車で移動中、友人は子供の事を思い出していた・・・

タバコを吸いながら、友人は私に彼の子供のことを話したことを覚えているかと聞いてきた。

彼の趣味はビスクドールだ。別に少女趣味なんて物ではない、彼の奥さんもそのビスクドールをとても大事にしている。まるで娘の様に。

私がまだ開業医を始めたばかりの頃、友人には可愛い娘が1人。とても彼は可愛がっていたし、とても愛していた。それは親なら当然のことだろう。

ただ、友人にとって不幸なことは、小さい時のベッドからの落下事故で、最愛の娘さんは首から下が動かない身体になってしまったという事だ。

適切な治療方法も確立されていなかった、神経を損傷しているんだ、当然動ける身体にはもう戻れない。身体はあまり成長しないが、頭脳は賢明だったよ、親に似て色々な言葉を覚え、休みの日に遊びに行くと私に嫌味すら言うようになっていた。

親ならば、自分の娘と一緒にビーチの砂浜を走ったり、かくれんぼをしたり、街へ服を買いに行ったりとしたいはずだ。だが、友人の娘は17歳までは生きれなかった。

友人の娘が16歳になった時、私はイタリアの彼の家へ遊びに行っていた、証人になってほしいという彼の頼み事を聴いたからだ。イタリアでは2018年に尊厳死法が施行されている。

今回実は証人の件よりも、もっと大事なことがあった。脳死判定の後、直ぐに頭部を切断し、もう一方の頭部を切断した四肢満足な女性へ移植するという手術の為だ。そんな事SF映画でありふれたネタだ、いい大人がそんな事を言って何になる?と思うかも知れない。しかし、実際にロシア人の患者に対してイタリアで2017年11月22日にその手術は成功し、論文も発表されている。私の友人はその教授の助手だ。正確には助手だったが正しい。

それに友人に対して私ができる事と言えば、彼の娘の尊厳死の確認とその後の手術を少し手伝うぐらいだった。

友人の娘の心拍が段々と弱まってきていた・・・隣のベッドには既に首のない死体・・・といっても血液は人工心臓で循環はさせているが、新しい娘の身体が準備されていた。念の為に言っておくが、この女性は、ドナー提供者と言うことだ。本当なら、心臓や腎臓や肝臓などごく一部だけなのだろうが、、、

2018年8月・・・友人には16歳になる子供が居た、正確には17歳になれなかった娘がいた。今まで生きていれば、18か19ぐらいか・・・

手術は失敗したんだ、私と友人だけでは、どうにもならなかった手術だった。その次の年からだ、友人がビスクドールと共にオーストラリアに来ては、長いバカンスを楽しむようになったのは。娘の死を迎えた夏を避けるように冬のオーストラリアに来て冬の終わりと共にイタリアの冬へ戻っていく。

ちょっと早い夕食の時間か・・・16:08、私と友人は、昨日の玄関の前に居た。

玄関のチャイムを鳴らそうとすると、後ろから昨日の少女が声を掛けてきた。

「こんにちは、どうぞ中へ」

淡々とした口調は、この少女の性格なんだろう。昨日座ったリビングのソファーに通され、彼女は少し我々に待つように言った。

「もう少ししたら、帰ってくるわ。彼女、外でバイトしてるから。」

その間に友人が質問をする。

「お嬢ちゃん、日本じゃ生きたまま小魚にソイソースを掛けて食べるって聞くが、日本人は正気かい?」

「美味しいわ」ニッコリともせずに少女が答えた。

「今日は、誰か来てるの?学校の友達かしら?」

玄関の方から、元気そうな声が聞こえ、ドタドタと靴音が私達2人に近づいてきた。

「なーんだ、学校の先生?」

振り返ると、あの首を繋いだ少女が元気そうに立っていた、確かにあの時の、あの死体だった少女だ。

私は目を丸く見開いて呆然とする友人の顔を見ながら、その少女に話しかけた。

「や、やぁ、そうなんだ。AKai Haatoさんの学校の担当医でね。君はいつも元気だから、私達の顔を知らないだろうが、彼女は君ほど身体は強くないみたいでね。今日もちゃんと薬を飲んでいるか確認しに来たんだよ。」

と、明らかに嘘だと思う言葉を口走ってしまった。

首のつなぎ目は、チョーカーで隠れていて見れない。しかし、この2人の少女よく見ると双子の様に顔が似ている。

違うのは性格か、1人は沈着冷静で冷たい印象だが、首を繋いだ少女は、態々訪問した我々にコーヒーとクッキーを出して来てくれた。それに夕食の案内までも。話し方も首の無かった少女の方が温かみがある。

私と友人は、首を繋げた少女の提案を丁寧に断り、その2人の家を後にした。

・・・私は友人に一体どうなってるのか訳がわからないと言おうとすると、、、

「クリス・・・俺にはあの少女の首が、あの少女の首は、綺麗に繋がっている様に見えたよ。」

「私にはチョーカーで見えなかったが?」

「そ、そうか、、、兎に角、生きていたんだな・・・あの少女は、、、生きていたんだ。良かったよ、俺はここにバカンスに来たんだぞ、殺人をしに来た訳じゃないからな。」

友人は複雑な顔をしながら、声を絞り出していた。

今日もまたいつもの時間より遅い夕食となってしまったか。

なんとも言えない雰囲気のなか食事を終え友人と別れた私は自分の部屋でパソコンを開いていた。

Youtubeか・・・全く見ない訳では無いが、そもそも忙しくてそんな時間があったら、思う存分睡眠を取りたい。

「私は、日本からの留学生ですけど、Youtubeで配信をやっているんです。お金なら多少はあります。別に変な仕事はしていないし、家族を殺したって訳じゃ有りません。みんな1週間ほどブリスベンのおじさんの家に遊びに行っているだけです。」

あの少女の言葉を思い出した。

「疑うなら、配信を見に来てください。」

あの首を繋げた少女も話していた。

「はあとちゃんは、Youtuberなんです。人気者なんですよ。チャンネル名は・・・」

AKai Haato Ch.

image 44 #はあちゃまホラー

確かにYoutubeで配信をやっているようだな、しかし、留学生とは言えどこでもネット環境さえあれば、金が稼げるってのは良い時代になった。

c9ac8c0ded2054d77f267c5336fd4274 #はあちゃまホラー

配信を見ると、あの死体を持ってきた少女が外国人特有の英語で配信をしていた。

なるほどねぇ・・・興味のない自分にはどうでも良かった。今日はもう寝るとするか、私は配信中の少女を見て、あの日の夜の事は、かなり過去のもしくは夢だったんだという気分になりPCの電源を切り直ぐにベッドで眠りに就いた。

#はあちゃまホラー

それから、数週間後・・・バカンスを終えた友人はイタリアへ戻り、平穏な日々が続いていた。

夕方の飛び込み患者の傷の手当をして、近所の爺さんの話を聞き終わり、差し入れのピザを食べていると、突然聞き覚えのある声がしたのだった。

振り返ると、例の首を繋いだ少女が立っていた、しかも何やら大きな袋を持っている。

「先生、お願いがあります。」

そう言うと、私が首を繋いだ少女は、大きな袋を診察台の上に置いた。

「首を繋げてほしいんです。」

なっ・・・何を言っているんだ?首ならとっくの昔に繋げたはず、首の傷を確認しようとするもやはりチョーカーで隠れていて見えない。

私は、悪ふざけは辞め給え、もう疲れてるんだから、明日にしてほしい。冗談ならたちが悪い冗談だと、私なりに少女を返す口実を色々考え口にした。

「首を繋げてください。私じゃありません。この子です。」

そう言うと、彼女は死体袋のような大きな袋を開けると、ゴロリと大きな何かを取り出した。

?!

それは、スイカでもマネキンの首でもなく、この間の少女の首だ、目を閉じてはいるが、先日見た少女の首であることは間違いなかった。

診察台の上の袋の中には胴体が残っているようだった。

「この子の首を繋げてください。」

少女が再び口を開ける。

「首を繋げてください。」

ふぅ・・・このままでは、夢にも出そうだ。

私は、袋に入った胴体を施術台の上に乗せ、首を繋げる作業に入った。

その間、少女はずっと私の側に立っていた。

30分後、首が繋がった、繋がったと言っても縫合しただけだ。

私は白衣を脱ぎ、顔や手を洗いに洗面所へ向かった、やはり案の定、顔を洗って戻ると、そこには少女も2人目の首を繋いだ少女も居なくなっていた。

胴体が入っていた袋とメモが私の診察室に残されていた。

【気が向いたら、今日の配信を見てください。きっと驚きますよ。】

[NEW COSTUME] ついに #はあちゃま新衣装 お披露目・・・!?【ホロライブ/赤井はあと】

ab04dcdafa3ff6f6b7c1f3a711968295 #はあちゃまホラー

そこには、最初に首を繋いだ少女がAkai Haato Ch.で配信をしている姿があった・・・

私の名前は、クリス・マーティンウッド。オーストラリアのクイーンズランド州オックスリーで自由気ままに開業医をしている。

気まぐれで続く・・・

#はあちゃまホラー

参考にした記事等、はあちゃまの配信など。

https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20171123-00078463/

https://hololive.news/hololive-vtuber/1st-gen/akai-haato/